「働き方改革」を考える

 働き方改革関連法案が成立したが、残業時間管理・高プロの導入・同一労働同一賃金の導入が柱となっている。これらの改革は企業や地域によって賛否・評価は分かれるであろうから専門家の論評にゆだねたいと思うが、「仕事の仕方」を変える必要があるのではないだろうか。

 東証一部上場企業の本社は首都圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)に約60%が集中している。一方、通勤時間における「一時間以上」の割合は東京は25.4%で全国平均の16.4%を大きく上回っている。

 企業の本社組織は巨大な事務部門であり、多くの人員とスペースを必要とする。東京では次々と超高層ビルが竣工し、企業は事務所の集約や統合を進めている。働く場の多さは、人口の流入にも繋がり、人口減の時代に入ってもなお東京は増加を続けている。

 一方、企業の機能集約と人口増加により広域災害時のリスクは増加しており、万一の場合には大きな被害が予想される。

 ITの活用や経営層の意識改革により一層の「業務の効率化」がはかられれば、サテライトオフィスやホームオフィスによる「働く場所」の多様化や、意思決定プロセスの簡素化・根回しの廃止による省力化が期待される。今や、働き手の大半がモバイルを操作し、通信の安定性とセキュリティは世界でも高いレベルのサービスを、国内各地で享受できる。

世界を相手にする企業が、東京に本社を持たなくてはならない訳ではない。企業風土に合致した地域で交通の便が良い場所に本社を置き、機能は各地に分散することも可能な時代と思う。

 働き方改革で重要なことは、「働かせ方改革」ではなく業務の省力化や一極集中の解消による「企業改革」なのではないだろうか。

 個人レベルで見ても、往復1.5時間の通勤が半分になれば、年間で390時間を有効に使えることになる。家の面積も狭く、自然も少ない都市部で子育てするよりも良い環境が地方都市では得やすい。大手デベロッパーの開発自転車操業につきあって東京集中が進んだ場合、地震や風水害、広域停電などのリスクはますます高くなることになる。

 先進国の比較では我が国は生産性が低いとの評価であるが、働き方改革を契機に一層の企業改革が求められる時代となっている。

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